水晶球観察器は偏光フィルターを使って水晶球の表面に現れる虹色の同心円、あるいは右巻き・左巻きの模様を観察するための道具です。また肉眼ではわかりにくいガラス玉と水晶球の判別も可能です。
■水晶球観察器の商品構成
・ステージ(黒色アクリル製)
68×50×8mm 1台
直径約50mmの球まで載せることができます。
・フィルター1 光拡散シート + 直線偏光板(垂直)
外形50×50mm 1枚
・フィルター2 直線偏光板(水平)
外形50×50mm 1枚
・フィルター3 円偏光板
外形50×50mm 1枚
・説明書
観察する水晶球と光源はご用意ください
■直線偏光板の仕様
厚さ:0.2mm
透過率:40%
偏光度:99%以上
UV透過率:1.0%以下
■円偏光板の仕様
右回転円偏光板
厚さ0.3mm
リタデーション値140nm
単体透過率42%
■組み立て
上の図のようにフィルターをステージの溝に差し込んでください。フィルター1が光源側、フィルター2が観察者側です。フィルターに印字してある1と2の数字が観察者側を向くようにしてください。ステージ中央の穴には観察する球を置いてください。
■光源について
水晶球の観察には電球形蛍光灯または直管の蛍光灯が適しています。LED蛍光灯・LED電球は種類が多く、すべて確認していませんが、虹色の同心円がまったく見えないものもあります。
■観察1 虹色の同心円をみつけよう
フィルター2を通して球を見ながら、上の図のように指先で球を回してください。本物の水晶球なら、よく見ると明るい部分と暗い部分があるはずです。暗い部分にそって球を回すと虹色の同心円が見えてきます。下の画像のガラス玉は一例です。ガラスの素材によってはことなった模様に見えることもあります。
水晶には複屈折や旋光性と呼ばれる性質があります。偏光板を通り抜けた光は水晶球の中で複屈折あるいは偏光面が回転するような動きをします。その過程で波長ごとに、つまり色によって光の進む速さ、回転する度合いが変わり、これが干渉縞を生み、観察者には虹色の同心円となって見えます。
偏光板はサングラスやカメラのフィルター、あるいはテレビ、パソコンのディスプレイなどさまざまな用途に使われています。自然界の光はあらゆる方向に振動していますが、偏光板はスダレのような構造をしており、特定の方向に振動している光しか通しません。光が通れる方向を偏光軸あるいは透過軸と言います。二枚の偏光板を、それぞれの偏光軸が直角に交わるように重ねると、どんな光も通過できなくなり、暗く見えます。鉱物顕微鏡はこのように2枚の偏光板を直交させ(これをクロスニコルといいます)、その間に置いた鉱物の性質を調べることができます。
観察する球が比較的小さい場合はフィルターの枠が光源の光をさえぎることがあります。この場合は上の図のように両方のフィルターを90度まわして(数字が横に倒れた状態で)ステージに差し込んでください。
小さな球は5円玉や50円玉を重ねて、その上に置いてください。
■観察2 右巻きか左巻きかを見分ける
光源とフィルター1と水晶球はそのままで、観察者側のフィルター2の代わりにフィルター3(円偏光板)を差し込んでください。本物の水晶球なら虹色の同心円が右巻きまたは左巻きのうずまき模様(エアリースパイラル)に変わるはずです。フィルター3にはウラオモテがあります。「3」の数字が必ず観察者側を向くようにしてください。
鉱物の結晶や糖などの有機物には光の振動方向を変える性質をもったものがあります。光源側の偏光板を通り抜けた光は水晶などの結晶や砂糖水など旋光性を持った物質の中を通過するとき振動の方向が徐々に変わり(偏光面が回転し)、観察者側の偏光板を通して見ても完全に暗くはなりません。どの程度回転するかは、光の色(波長)、物質の種類、濃度、厚さによって変わります。水晶の旋光性については理科年表に記載があります。高校の化学の教科書に登場する「光学異性体」も旋光性に関する言葉です。